データにも如実に表れるペップ・バイエルンの変化
2012-13シーズンにトレブル(三冠)を果たしたバイエルン・ミュンヘンは、ペップ・グアルディオラの哲学と共に、ゼロからの再出発を果たした。その変化はデータにも如実に表れている。
今季のブンデスリーガ前半戦を終了した時点で、バイエルンの平均ポゼッション率は71.1%。昨季のハインケスが指揮したバイエルンも、高いポゼッション率を記録したが、シーズン平均は63.6%。今季のバイエルンはそれを遥かに上回る数字をたたき出している。
さらにボールタッチのゾーン別統計をみると、昨季、アタッキングサードにおけるボールタッチは全体の32%、ミドルサードで46%、ディフェンディングサードで23%を記録。一方、今季はアタッキングサードが38%、ミドルサードが40%、ディフェンディングサードが22%と、アタッキングサードにおけるボールタッチ率が増加した。
つまり、ペップが指揮するチームは単純にボールを保持する時間が長くなっただけでなく、そのプレーエリアがより相手ゴールに近づいていることがわかる。
そしてもう一つの重要なポイントは、カウンターアタックの減少だ。昨季は全98ゴールのうち、9ゴールがカウンターアタックから生まれた。しかし、今季は前半戦の42ゴールのうち、カウンターから生まれた得点はわずか1ゴールしかない。
マイボールを大事にする今季のバイエルンは、ほとんどの攻撃において必ず中盤を経由し、ゆっくりと相手ゴールに迫っていく。縦の速さを重視しないため、必然的にカウンターアタックや速攻を仕掛ける回数自体が大きく減少した。
ポゼッション率の高さ、アタッキングサードでのプレー率の高さ、そしてカウンター回数の減少。これはペップが指揮したバルセロナの特徴にもよく似ている。