巧みな操縦術で成長を続けるマインツ
■マインツ関連のデータ(キッカー誌より)
マインツは2004年の1部初昇格以来、計44.450ミリオンユーロの移籍金を獲得に費やし、選手売却によって54.345ミリオンユーロの移籍金を得た。つまり9.895ミリオンユーロのプラス。
キッカー誌が興味深いデータを算出している。
トゥヘルが就任した2009年夏以降の全クラブの勝ち点を計算すると、1位バイエルン(352ポイント)、2位ドルトムント(315ポイント)、3位レバークーゼン(286ポイント)、4位シャルケ(258ポイント)、5位マインツ(216ポイント)、6位ボルシアMG(215ポイント)、7位シュツットガルト(212ポイント)となる(2月6日時点)。
つまりマインツは、ビッグ4に続く位置につけているということだ。5位以下の勝ち点差は小さいが、中位グループにいるだけでも快挙だ。
なぜマインツは、これほどコストパフォーマンスが優れているのだろう? トゥヘル監督の手腕に加えて、もうひとつ忘れてはいけないのは選手の「発掘」と「売却」のうまさだ。
2004年に1部に初昇格して以来、マインツは選手獲得に44.45Mユーロの移籍金を費やしてきた。一方、選手売却で54.35Mユーロを手にした。つまりトータルで9.9Mユーロの利益を生み出したということだ。
選手個人の流れを見ると、商売のうまさがより際立つ。
レアル・マドリーのセカンドチームから0.75Mユーロで獲得したザライを、約10倍の8Mユーロでシャルケに売却。3部のオッフェンバッハから0.75Mユーロで輸入したバンスを5Mユーロで中東に輸出した。
下部組織出身のシュールレが、さらに大きな利益を生み出す。レバークーゼンへの移籍金8Mユーロに加えて、のちに彼がチェルシーに移籍したことで、さらに6Mユーロがマインツに振り込まれた。
こういう補強の舞台裏で指揮を取っているのが、マネージャーのハイデルだ。元々ハイデルは中古車販売が本業で、仕入れのための情報網を欧州中に持っていた。そのネットワークを選手発掘に活用したのである。
たとえば2010年1月、レアル・マドリーのセカンドチームでくすぶっていたザライを発見。また、バーゼルに所属していた韓国代表のパク・チュホが、兵役を控えているために移籍金が格安であることを聞きつけ、獲得に動いた。