育成に資金を投じるフライブルク。一定の成功も選手引き抜きで低迷
フライブルクは一言で表せば、育成型クラブ。1991年にフォルカー・フィンケが監督に就任すると、この元教師はクラブハウスがプレハブにすぎなかった小クラブを大改革。育成に資金を投じる方針を打ち出し、10Mユーロで国内随一のアカデミーを建設した。
トップチームとは別に、アカデミーにスポンサーをつけることで年間の運営費も捻出。これまでドイツ代表のアオゴ(現シャルケ)、トルコ代表のトプラク(現レバークーゼン)、元ドイツU-21代表のシュバーブ(現シュツットガルト)を輩出してきた。
現チームで言えば、GKバウマン、DFのギンターとゾルグ、MFのギュンターとシュミットがアカデミー出身。特にギンターはバイエルンも注目している逸材である。
ただし、毎年のように核となる選手が引き抜かれるのが大きな悩みだ。今季はマキアディやフルムら主力5人がチームを去り、昨季とは別のチームになってしまった。戦力は大きくダウンし、32節時点で17位に低迷している。
クラブはこの現実を受け入れており(選手人件費が17番目なのだから懸命である)、仮に2部に降格してもシュトライヒ監督は続投される見込みだ。
それに対して、安定性という面で抜群のコストパフォーマンスを誇っているのがマインツだ。
昨季の選手人件費は17Mユーロ。これはJリーグのチーム人件費トップ3(名古屋20億9000万円、柏20億4700万円、浦和レッズ19億1000万円/2012年度)と同規模で、バイエルンの約9分の1だ。
一昨季にシュールレ(現チェルシー)をレバークーゼンに引き抜かれ、今季はザライをシャルケに放出した。主力がチームを去るという点ではフライブルクと同じである。
にもかかわらず、マインツは2009年に1部に再昇格して以降(クラブ史上初の昇格は2004年)、1部に留まり続けている。
その最大の立役者が、40歳のトゥヘル監督だ。
2009年夏、マインツは開幕直前に怠け癖のあったアンデルセン監督を解任し、後任に下部組織(マインツU-19)を率いていたトゥヘルを抜擢する。
するとトゥヘルはチームをひとつにまとめ、1年目に9位、2年目に5位と着実に結果を残し、ドイツ代表のレーブ監督から「将来の代表監督候補」と評価されるまでになった。