育成型の小クラブが見せた大躍進
ブンデスリーガは世界中で最もマネーの管理に厳しいサッカーリーグである。毎年、1部から3部までの全クラブに財務報告を義務づけ、基準を満たさないクラブがあれば、ライセンスを剥奪して強制降格させることも辞さない。
2005年に強制降格の危機に立たされたのが、120ミリオンユーロ(約168億円)の負債が発覚したドルトムントだ。ドルトムントはすぐさま経営陣を刷新して「再建プラン」を練り出し、そこから奇跡のV字回復を果たした。
マネーにうるさいリーグだけに、ブンデスリーガでは各クラブの「選手人件費」が公開されている。
昨季の人件費はバイエルンが125ミリオンユーロ(約175億円)とダントツで高く、2位にフォルクスワーゲンを親会社に持つボルフスブルク、3位と4位にカリスマ的な人気を誇るルール地方のシャルケとドルトムント、5位にバイエル製薬を親会社に持つレバークーゼンが続く。
さて、ここからはあえて金額を円換算せず、ミリオンユーロ(Mユーロ)のみで表記することにする。為替変動による誤差はあるが、1Mユーロ=1億円と概算すれば桁を間違うことはなく、金額を感覚的に掴むのに便利だからだ。たとえば10Mユーロだったら「10億円くらい」と考えればいい。
「お金がなくても強いチーム」を浮き彫りにするために、各クラブのコストパフォーマンスを算出してみよう。具体的には(選手人件費)÷(総勝ち点)という計算式で、「勝ち点1を獲得するのに要した人件費」を出してみた。数字が小さいほど、安い選手たちが健闘したというイメージだ。
昨季、この数字がずば抜けて良かったのが、5位に大躍進したフライブルクである。