病み上がり。明らかに走れていなかった
序盤は頻繁にボネーラのサポートに回り、ボール奪取にも度々成功していた。だが徐々に、遅れが目立ってくる。21分、オーバーラップを仕掛けるドドの動きに反応が遅れ、ルーズボールを先に触られミドルシュートを打たれてしまう。そして40分にはオーバーラップを仕掛けたドドに手を掛けて倒してしまい、イエローカードを貰う。
前半終了間際、ピャニッチのスーパーゴールで先制したローマは、さらにパスを流麗に回してせめて来る。そして20分、カウンターからドドがペネトレートを図ってくると、本田はこれを逃してしまい、失点につながった。ファウル覚悟で当たりに行くという選択肢もあっただけに、結果的には前半の警告が高く付いたということになる。
また、サイドで生ずる数的不利は、攻撃の上でも堪えた。本田がボールを保持し、サイドを起点にパスを放っても、受け手が常に囲まれてしまうのである。また彼自身がドリブルから仕掛けようとする際にも、常に2人が寄せてスペースを消してきた。
このタイトな組織守備が現在リーグ最少失点を誇る堅守の秘訣で、その中でチャンスを作るのは、簡単は話ではなかった。
精力的にやっているとはいえ、サイドで攻守を務めた経験はまだまだ少ない。その状態で強豪と当たれば、劣勢になることも当然起こりうる。何より2週間実戦から遠ざかっていた関係で、最近の試合と比較しても明らかに走れていなかった。
そんな状態でありながらセードルフ監督は本田を頭から行かせ、しかも80分間プレーさせたことに何の躊躇もなかったことが気にかかる。
【次ページ】情状酌量の余地はあるが、10番として反省点も多い