クラブに携わる人の思いがつまった開幕9連勝という記録
42試合の中での1勝だった。だが曺監督は、こうも話している。
「クラブ存続の危機があった中でこういう記録を作れたのは、クラブに携わった人たちが思いを持って支えてきたからこそ。思いを持ち続けることは大事ですし、見ている皆さんやクラブで働く人に伝われば、9連勝は価値があることだと思います」
1994年、ベルマーレ平塚(当時)はJリーグに昇格した。中田英寿ら個性的なメンバーを数多く揃え、その攻撃重視のスタイルから『湘南の暴れん坊』と呼ばれた。しかし、1999年に親会社が撤退すると状況は一変、クラブは存続の危機に立たされた。主力選手は次々と移籍し、チーム力は低下。そしてこの年、クラブはJ2に降格した。
あれから15年が経った。一時はクラブが消滅するかもしれない事態に陥りながら、湘南は踏みとどまり、そしてリーグの歴史にその名を刻んだ。開幕9連勝は、このクラブを残したいと思い続けた人たち全員で勝ち取ったものだ。
曺監督は、「これで慢心しては積み重ねが無意味になる」とまだまだ満足していない様子。そして遠藤も、「中途半端に奪いに行って剥がされるなど、今日も課題が出た」と試合を振り返った。
記録達成にも浮かれることなく前を見続けている。湘南の暴れん坊は、どこまで勝利を積み重ねていくだろうか。
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