カクタ=角田。日本にルーツを持つ選手に親近感
当然、祖母も最愛の孫と離れて暮らすことは辛かったはずだが、孫のためを思い愛情を持って突き放したのだ。さらに、いとこのランゼルからの「嫌なら僕が代わりたいくらいだ。君が持つ可能性はごくわずかな人間にしかないものだ。君はとても幸運なんだよ」という言葉がダビド少年の心に響いたという。
こうして気持ちを入れ替えたダビド少年は、徐々にチームにも街にも馴染み、良い友人も出来て順調にステップを上げていく。
04-05シーズンの2部エイバル、翌05-06シーズンのセルタへのレンタル移籍で大きく成長。06-07シーズンにバレンシアに復帰すると中心選手として活躍。
そして、10-11シーズンに推定移籍金2500万ポンド(約43億円)でマンチェスター・シティへ移籍。今や世界有数のセカンドストライカー&ウインガーとして活躍している。
その他、チェルシーからラツィオへ期限付き移籍中のガエル・カクタは、祖父が日系フランス人。カクタ=角田なのだ。
チェルシーに移籍した際に不正があったとして古巣のランスが提訴。FIFAから4ヵ月の出場停止と罰金、チェルシーに1年間の新規選手獲得禁止と罰金が下されたが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)によって適切な取引だったという判決を受ける騒動に巻き込まれた。
これが影響しているかは定かではないが、かつて「フランスのメッシ」と呼ばれながら22歳の現在も伸び悩んでいる姿は残念だ。
彼らは、もちろん日本人でもなければ日本語を話せるわけでもない。それでも、日本にルーツを持つ選手には親近感が湧くものである。一歩道が違ければ日本代表選手としてプレーしていたかもしれない。
特に、ブラジルW杯を含め今後のサッカーシーンの中心となるであろうダビド・シルバの活躍は、密かな親しみを持って応援したい。
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