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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第7回 小林祐希(ジュビロ磐田)

シリーズ:2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って text by 海江田哲朗 photo by Tetsuro Kaieda , Kenzaburo Matsuoka

「責任感の強さは違った」。10歳で父と離れ、早くから自立が必要な環境に

「祐希は自分を抑圧するとプレーがおかしくなる。小学生のときに所属したジャクパの頃、周りにしょっちゅう文句ばかり言っていたから、監督から黙っているように約束させられたんです。

 そうしたらプレーがものの見事に縮こまってしまってね。ダメなんだなぁ。精神的にストレスを溜め込むと。周りの親御さんにもやいのやいの言われていたんですが、ヴェルディに入ってからはその心配はなくなりました。

 キローラン兄弟のお母さんだったかな。『思ったことを遠慮なく言い合えないと、プロなんてなれないでしょ』と言ってくださってね。子どもを縛らない考えの方々ばかりで、おかげさまで親としては助かりました」

 祐希が10歳になる前、両親は離れて生活するようになった。父が家を出て、母親とふたりの妹の4人暮らし。当時を振り返り、祐希はこう語っている。

「家族にはたくさん迷惑をかけました。頭ではわかっていたけど、心が子どもだったんですね。全部周りのせいにして、ちょっとしたことで当たり散らしていた。これから倍にして返していかなければいけない。

2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第7回 小林祐希(ジュビロ磐田)
南部健造(右)と牧野修造(左)【写真:海江田哲朗】

 昔は妹たちにもむかついていたんですが、近頃はなんだか可愛くなってきて。こっちが恥ずかしくなるようなことをたまに言うんですよ。お兄ちゃんは私たちの誇りだとか。おい、お小遣いがほしいだけだろ? って(笑)」

 ただでさえ、18歳でプロになる選手は心身ともに一定の熟度が求められるが、小林はそれ以上に早くから自立が必要な環境にあった。それは身近で接していたチームメイトにも伝わっていた。

「責任感の強さは違ったと思います。自分が家族の中心としてしっかりしなければいけない。その覚悟はサッカーに賭ける姿勢にも出ていた」(南部健造・中京大4年)

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