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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第7回 小林祐希(ジュビロ磐田)

シリーズ:2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って text by 海江田哲朗 photo by Tetsuro Kaieda , Kenzaburo Matsuoka

「いまの知識や考え方を持って、高校時代を過ごせたらとは思いますね」

 余暇を過ごす読書のスタイルも変わった。主にノンフィクションを好み、考えが合わないと途中で放り出していたが、頭をからっぽにして読むことを覚えた。いったん丸のみし、かみ砕き、必要なものをそこから抽出する。

「サッカーだけではなく、人として成長していく。自分を鍛えることが、周りを大切にし、チームを強くすることに繋がる。土台がゆるゆるだったから、そこからつくり直しです。

 城はけっこう立派だったんですが、ベースが安定していなかった。じっくり時間をかけて自分をつくっている楽しさはあります」

 そこにもっと早く気づけば、と思うことはあるのだろうか。

「いまの知識や考え方を持って、高校時代を過ごせたらとは思いますね」

 それは多くの人が思いを同じくするところだろう。なんで僕は最初のデートで背伸びして美術館とか行っちゃったんだろうなぁ。シャガールなんて、全然興味がなかったのに。

「そっちのほうは別に。最初からうまくできたし、むしろ得意なほう。サッカーの話ですよ」

 君はアレか、話を合わせるということを知らんのか。この場の潤滑油的に軽くボケただけなんだから、さっと流してくれればいいんだ。そういうところだぞ、小林祐希。

「ヴェルディの頃、気づけていればどうだったかな……。追い詰められて、サッカーが楽しくない、楽しくできるところでやりたい、そうやって今思えば逃げていたんですけど、新しいところでチャレンジする自分への期待のほうが大きかった。

 さみしさはあるけど、後悔はしていません。自分を築き上げるための選択だったと思えます」

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