年俸から見えてくるいい監督とダメ監督
サラリーを得ている監督は、本当にチームの勝利に貢献しているのか?
この命題を考察する上では『デイリーメール』が2013年12月に発表した今季の監督人件費ランクが欠かせない(表3)。
世界の監督サラリーでトップに君臨するのが、バイエルン・ミュンヘンを率いるジュゼップ・グアルディオラの1480万ポンド(約25億4200万円)。続く2位に位置しているのが、ジョゼ・モウリーニョ(チェルシー)の837万ポンド(約14億3700万円)である。
プレミア勢では、アーセン・ヴェンゲル(アーセナル)が4位の689万ポンド(約11億8300万円)、デイビッド・モイーズが7位の492万ポンド(約8億4500万円)、マヌエル・ペジェグリーニが10位の347万ポンド(約5億9600万円)にランクインしている。
また、12位にはブレンダン・ロジャーズ(リバプール)が325万ポンド(5億5800万円)で、13位にはサム・アラダイス(ウェストハム)が295万ポンド(約5億670万円)でランクインしている。
こうしたランクを見る限り、チェルシーに復帰したモウリーニョは今季ここまで優勝争いを繰り広げ、チャンピオンズリーグでもベスト4まで駒を進めており、まずは及第点の采配ぶりと言えるだろう。
リバプールをパス戦術で刷新し、優勝争いをリードしているロジャーズ監督は優れたコストパフォーマンスを発揮している。
その点、昨季優勝チームのスカッドをほぼ継承しつつも、シーズン終了を待たずに解任されたモイーズは全くその金額に見合ったものではなかった。
また、ウェストハムのアラダイスも、今季ここまで12位であり、果たしてこの金額が妥当であるか否かの判断は分かれるところだ。
というのも、彼のサラリーは他国リーグながら好仕事を残している、18位アントニオ・コンテ(ユベントス)の250万ポンド(約4億3000万円)、26位ディエゴ・シメオネ(アトレチコ・マドリー)の209万ポンド(約3億5880万円)よりも上だからである。
もっともこれも、前述したプレミアリーグの放映権パワーがセリエAやリーガ・エスパニョーラを凌駕していることの証左なのだろう。