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TV放映権料1位はマンUだが――。データで読むプレミアリーグ、最もコスパの良いクラブは?

text by 鈴木英寿 photo by Kaz Photography

勝ち点1を取るのに人件費はいくら必要か

TV放映権料1位はマンUだが――。データで読むプレミアリーグ、最もコスパの良いクラブは?
■表2 2011-12シーズン勝ち点1あたりのコストパフォーマンスが高いチームランキング

 本来であれば前述の放映権と順位の関係も、相関分析という数学的手法を用いて、2変数間の関係を数値で記述するのが、王道である。だが、よりシンプルに順位とお金の関係を記述する方法もある。それが、「勝点1あたりにかけたサラリー(選手人件費)」という考え方である。

 少し古いが、2011-2012シーズンの強化費用と順位の相関、すなわち「強化費用のコストパフォーマンスが高かったチームのランキング」を見てみたい(出典は『テレグラフ』紙、2013年6月)。

 計算方法はいたって簡単である。「選手人件費の総額」÷「年間勝点」=「勝点1あたりの人件費」である。この数字が低ければ低いほど、コストパフォーマンスが高いというわけだ。

 表2が、2011-2012シーズンのランキングだ。

 このランキングの解釈方法は実に多様である。「優勝するためのコストパフォーマンス」としてみれば、同じ勝点89ラインでもユナイテッドのほうが人件費は適正だったということになる(最終的には得失点差でシティが戴冠したが)。

 また、アストン・ビラの人件費は約7500万ポンド(約128億8170万円)とアーセナルの1億4300万ポンド(約245億6200万円)のおよそ半額規模だが、勝点1あたりの人件費はほぼ同値であるため、ビラのコストパフォーマンスは悪い、という仮説も成り立つ。

 このシーズンで突出したコストパフォーマンスの良さを発揮したのが、スウォンジーの人件費約3500万ポンド(焼く60億1140万円)とノリッジの同3700万ポンド(約63億5500万円)だろう。ともに勝点は47。倍以上の(人件費約7500万ポンド)を投じたアストン・ビラよりも勝点では9ポイント上回っている。

 特にスウォンジーは健全経営で知られており、昨季キャピタル・ワン・カップ(リーグカップ)で優勝した後に、賞金収入をすぐさまトップチームの練習施設整備に回す決断をするなど、フットボール的観点から見た投資の選択も優れている。

 今季はここまで13位とまずまずの順位だが、最終的なコストパフォーマンスランキングは決して悪くない着地点へと到達するのではないか。

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