次期正監督に求める即成功。「長期展望」の伝統は崩壊
ユルゲン・クロップ(ドルトムント)は現職続行の意思を公言したが、やはり候補リスト上位とされるルイ・ファン・ハール(オランダ代表監督)とカルロ・アンチェロッティ(レアル・マドリー監督)の招聘は可能性を残す。
今夏の補強予算は最大340億円とも言われ、優勝経験を誇る実力者に後任の的を絞っている様子からしても、次期正監督に即成功を求めることは間違いない。つまり、優勝争いとCLへの復帰。モイーズの最終戦はCL出場権獲得の望みが消滅した敗戦でもあった。
米国人オーナー以下、巨額の負債を抱えるクラブの経営陣は、「CLなしの来季に耐える収益力」を強調していたはずが、いざ現実となると不安にかられたと理解できる。
前回のモイーズ指名は、当初「さすがユナイテッド」とメディアで称された。同い年の「優勝請負人」、ジョゼ・モウリーニョも候補と噂された中、敢えてエヴァートンで11年の長期政権を実現した英国人を抜擢した人選は、短期的視野の「成り上りクラブ」にはなし得ない英断と讃えられた。
だが、そのユナイテッドが就任1年目のモイーズを切った。正規の後任が誰でもスタッフとして残るはずのギグスが将来的に就任しても、もやは「ユナイテッドならでは」の長期展望は期待薄だ。
新体制での再出発により、失われかけたユナイテッド伝統の攻撃的スタイルと優勝候補のステータスは、ほどなくして取り戻せるかもしれない。ファンの間にも監督交代を惜しむ声はほとんどない。
しかし、「長期展望」の伝統は一度捨てればそれきりになってしまうのではないか? その点が中立的な立場でも悔やまれるモイーズ解雇である。
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