ロッベンにとってマドリーは期待外れ?
しかしそんな中で先制弾を奪ったのはマドリーだった。19分、マンジュキッチの落としにクロースがダイレクトでシュートを放ち、ペペに当たって跳ね返ったボールをベンゼマがなんとか拾う。繋いで左サイドでボールを受けたロナウドが、駆け上がるコエントランへとボールを送る。折り返されたボールを、ベンゼマが鮮やかに流し込んだ。
鼓動高鳴る攻防が続いたその後71分間で、結局バイエルンはこの1点を覆すことはできなかった。そしてこのベンゼマがバイエルンに対して挙げた1ゴールをどう捉えるかは非常に難しい。マドリーがミュンヘンでの第2戦を迎えるにあたってのアドバンテージであるのは間違いない。
試合後のロッベンは言う。
「私はもっとマドリーに期待していた。門から飛び出してくるものと期待したが、代りに彼らは待ち構え、私たちにゲームを支配することを許した。そのことは私を驚かせたよ」
ロッベンの言葉は、マドリーを挑発する強がりとも取れるし、第2戦に向けての心の余裕とも取れる。要するにベンゼマの1ゴールは、ロッベンの言葉そのまま、バイエルンの立場を非常に危うくしたものであるのと同時に、バイエルンにとって十分に逆転可能なスコアの差でもあるという、ちょっとした二面性を持っている。
マドリーとしてはミュンヘンのアウェイではスコアレスのドローでも十分ではあるが、仮に敵地で1ゴールでも上げれば、アウェイゴールの兼ね合いでその途端にバイエルンは3ゴールを奪わなくてはならなくなる。
マドリーの持つ驚異的な破壊力とカウンターを考えれば、アウェイゴールを積み重ねることは十分に可能だ。一方でバイエルンが2ゴールを上げて逆転することも、十分現実的な範囲ではある。
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