セードルフからの権力剥奪
バルバラ(およびパパ・ベルルスコーニ)にとっては“飼い犬”監督セードルフは非常に都合が良かった。今のミランにとっては、また新人監督としては異例の高額年俸を与える。だが、結果は散々たるもの。2月末になっても成績は一向に上向かず、10位付近をさまよった。
それでいてセードルフはタソッティ助監督の更迭や、来季のスタッフとしてクライファートやスタム、ダーヴィッツなどそうそうたる(そして高額な)メンバーを要求。クラブの財政状況をまったく理解していない意見に、さすがのバルバラも気付き始めた。
セードルフ招聘は失敗だったのではないか、と。
3月、チャンピオンズリーグでの惨敗などの成績不振によりティフォージの怒りは頂点に。デモ活動で激しくクラブに抗議までになる。そして3月18日、ベルルスコーニの邸宅である密会が行われた。
モントリーボ、アッビアーティなどの選手とともにそこにはガッリアーニの姿もあった。セードルフは呼ばれていない。ここで現場から監督への批判が出る。放任主義ゆえの規律の乱れ、問題点改善のための策がまったくなされていない、などなど。
これを受けて、セードルフからの権限剥奪が決定。オーナーはガッリアーニに「戦術変更」を命じる。お気づきだろうか。ミランの戦い方が変化していることを。より守備に重点を置いた現実的なスタイルにより、勝ち点を奪えるようになったのだ。
だが、これはセードルフが指揮していると言えるだろうか。ガッリアーニの指示で選手が動くというのは、監督がいようがいまいが、関係ないという事態ではあるまいか。
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