レアル・マドリーはようやく当たった歯応えのある相手
glucklichという単語には「幸運な」という意味合いもある。マンチェター・ユナイテッドとの第2戦を前にしてあれほど神経質だったことを考えればこの反応は嘘のようだが、かといってペップは相手をナメている訳ではない。
「世界一の選手たちと指揮官と試合をすることになるのかもしれない。この世界でベストのチームのひとつとの対戦は我々にとって大きな挑戦となるだろう。私はチームを信じている」
そしてバイエルンのアタッカー、トーマス・ミュラーも言う。
「素晴らしい抽選だ! たくさんのワールドクラスの選手たちとの固唾を呑む2試合が嬉しいね」
今も昔も人気を博し、ドイツの書店にも翻訳版が並ぶ日本の冒険漫画で主人公が「相手が強ければ強いほどワクワクする」というようなことを言っていたが、ミュラーも似たような心境なのだろう。
要するにバイエルンの面々は歯応えのある相手を待っていたのである。ともすればこれまでの対戦相手からするとなんとも失礼な話だが、真正面からぶつかり合える相手を望んでいた、と言えばより正確かもしれない。
そう考えれば仮に対戦が決まれば、引いてカウンターという手段を取ってきたであろうチェルシーやアトレティコ・マドリーよりも、スペインはおろか欧州随一の破壊力を持つチームとの対戦は、スタイルの面から考えても喜ばしいものと言える。第1戦がマドリーのホームであることを考えても、果敢に攻め入ってくるに違いない。
ペップが実名を挙げた「カシージャス、ペペ、ラモス、ベイル、モドリッチ、コエントラン、アロンソ、ディ・マリア、ベンゼマ、ロナウド」を要する白い巨人との一戦は、まさに今シーズン船出したばかりのペップ・バイエルンの、真価が問われる最初の戦いとなりそうだ。
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