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「あの負傷で右足を失いかけた」。アトレティコ不動の左SBフィリペ・ルイスが語る怪我からの復活とアトレティコのアイデンティティー

text by 江間慎一郎 photo by Kaz Photography , Getty Images

「あの負傷で右足を失いかけた」。デポルティボ時代の深刻な怪我から復活

――デポルティボでプレーしていた2010年、あなたは右足首の脱臼及び骨折という深刻な怪我を負いました。約4カ月で復帰を果たしましたが、ピッチに立つ恐怖を引きずっていたと聞いています。

「あの負傷で僕は右足を失いかけた。足を切断する可能性があったし、2010年南アフリカW杯出場も断念せざるを得なかった。でも医師はプレーを続行できると話してくれたし、人々から与えてもらった勇気を必死に握りしめたんだ。

 とても厳しい時期だったが、自分を強くもしてくれたよ。あの負傷によって、僕は歩き方さえ変えなければならなかった。だけど、その経験が自分を新しい選手、新しい人間に生まれ変わらせたんだ」

――アトレティコ加入後も、その負傷の影響に悩まされたのでしょうか?

「以前のようなプレーができるようになるまで、それほど時間はかからないと思っていた。だけど走り方も変えなくてはならず、かなりの時間を費やすことになったね。それは心理面の問題でもあったんだ。アトレティコに到着したときには、監督(キケ)からの愛情も感じられず、自分が重要な存在とは思えなかった。

 最大限のプレーを見せようと試みたが、自分の知るすべてを示すための大胆さを欠いていたんだ。だけど試合をこなす度に、少しずつそれを示せるようになっていった。すべてを乗り越えたことに満足しているよ。デポル時代のような、最高の自分に戻れないと考えたことは一度もなかった」

――シメオネがアトレティコに到着した際、「15本のシュートを打ってノーゴールに終わるより、1本のシュートで勝利した方が良い」と発言して物議を醸しました。

「ただ僕のプレースタイルは何も変わっていない。監督は両サイドバックの積極的なオーバーラップを好んでいる。立ち向かう試合に依存する形で、フアンフランの方が積極的にオーバーラップすることもあるし、僕の方が攻撃参加の数が多かったりするね。だけど僕のスタイルに変化はなく、むしろ監督の敷くシステムの恩恵を受けている」

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