無力だったユナイテッドの両SB。浮き彫りとなった補強ポイント
対照的にユナイテッドの両サイドバックはアレクサンデル・ビュットネルとクリス・スモーリング。左のビュットネルは、対面のコールマンとミララスに翻弄され続け、右のスモーリングは後半16分にセンターバックへポジションを移すまで全く存在感を発揮しなかった。
もちろん、パフォーマンスが優れなかったのは両サイドバックのみではない。ウェイン・ルーニーは明らかにコンディションが悪かったし、ナニはもうユナイテッドでのプレーに意欲を持っていないように感じる。
それでもサイドでの主導権争いに敗れれば、チームとして後手に回ってしまうものだ。
香川真司のようなサイドから中に絞る選手は、サイドバックの攻撃力を活かすことが出来るが、ビュットネルには香川と同じ絵を描く能力は無かった。右のナニとスモーリングは、ベインズの前では無力な存在だった。
しかし、この試合によって来シーズンへ向けた補強ポイントが浮き彫りになったとも言えるだろう。現在報じられているマルコ・ロイスを獲得したところで、仮にこの試合にいたとしても何も出来ずに終わっているはずだ。
パトリス・エブラが退団濃厚となっていることからも、両サイドバックは最大の補強ポイントだろう。質の高いサイドバックは、どのクラブの欲しているだけにかなりの出費も覚悟しなければならない。
もう一つのポイントはセントラルミッドフィールダーだ。今シーズンのユナイテッドは、悪いパフォーマンスの試合では単調なリズムの攻撃に終始することが多く、この試合のその一つだった。
マイケル・キャリックとダレン・フレッチャーは、全体のパフォーマンスは悪くはなかったが、リズムを変えるパスを出せる選手ではなかった。
この試合では香川真司が唯一リズムを変える動きやパスを見せようとしていた印象だった。前半21分には、結果はオフサイドだったもののルーニーに鋭いスルーパスを出している。また、これまでは消極的にしか映らなかったリターンパスはマタを絡めることで効果的なプレーとなる可能性も垣間見えていた。
ここに噂に出ているトニ・クロースのようなゲームメイカーが加われば、香川の動きも相手にとってより脅威となってくるはずだ。