生え抜きメンバーが多かったリヨン
さらに言うなら、判定ミスがなかったとして、勝っていたとは限らない。1-0でハーフタイムを迎えていたら後半の局面は変わっていたことだろう。しかし、それがリヨンの勝利を保証するわけではない。
リヨンのMFゴナロンは「あの判定で試合の流れが完全に変わってしまった」とは話したが、「PSGの勝利はふさわしいもの」という潔さも見せた。
後半、リヨンはラカゼットがPSGのパスをインターセプトし、速攻で胸のすくようなスーパーゴールを決めて1点を返した。
何がなんでも勝ちたかったのだろう、ボールを持ったものが個人でガンガン仕掛ける戦術のないPSGに対し、リヨンは中盤でしっかりボールをキープし、形を作った上で展開していくという「サッカーらしい」ゲームをしていた。
バックラインも堅実な守備で、パリのストライカーたちを自由にさせなかった。さらにリヨンは、ロペス、ラカゼット、ゴナロンら、主力はみな生え抜きメンバー。彼らに続く20歳前後のトリッソ、フェキールといった育成所あがりの若手もピッチに並ぶ、まさにフランスサッカーの将来を担うラインナップ。公平に見て「勝たせたい」と思えたのはリヨンだった。
外国人スター選手が居並び、国外からの注目も集め出したPSGの存在は、リーグアンの人気、知名度を上げることには貢献している。しかしその反動かのように、リヨンのような国産プレイヤーを育てるクラブへの称賛の声も日増しに高まっている。
惜しくも優勝カップは逃したが、リヨンにはその誇りとともに、今後もクラブ哲学を貫いていってもらいたい。
【了】