PSGを優遇した恣意的な笛だったのか?
試合後のミックスゾーンは、当事者の肉声を聞きたい報道陣の熱気であふれていたが、両チームの選手たちはなかなか現れなかった。いつもは各チームから3、4人がランダムに選ばれるドーピング検査で、この夜は22人と両チームの選手ほぼ全員が検査の対象となっていたのだ。
その間を埋めるかのように報道陣の前に姿を出したのがリヨンのオラス会長。いつもの本音トークをぶちまけた。会長いわく「コンタクトは確実にエリアの外であり、接触自体も、ファウルになる類のものではなかった」。
審判にも間違いはある。しかし会長が怒り心頭だったのには、別の理由があった。
シーズン後半戦の大事な時期、欧州カップ戦出場権を狙うリヨンにとって非常に重要なリール、モナコ、サンティティエンヌといった上位対決に限って、立て続けに審判のミスにより不利な状況に置かれていたのだった。
エリア内で相手にハンドがあったにもかかわらずPKを与えられなかったり、2-3で惜敗したモナコ戦でベルバトフが挙げた決勝点も明らかなオフサイドだった。
「間違いはある。それはサッカーの一部だ。しかしどうして我々ばかりに起きるのか。そこが納得いかない」会長はこうも続けた。「年間50億ユーロ(約7000億円)もの法外な予算をもつクラブを優遇する必要がどこにあるのか?」
この日の主審であるラノワ氏は、W杯やユーロでも笛を吹く国際審判で、フランスの最優秀レフェリー賞受賞歴もある国内では尊敬度の高いレフェリーの一人だ。PSGファンによれば「ラノワが笛を吹くときパリは負けない」そうだが、彼が故意にPSGを優遇したとは思えない。「弘法も筆の誤り」というやつだろう。
それを言うなら、リヨンが7連覇していた時代には、主だった審判はみな「リヨン贔屓」と言われていて、実際、リヨンにとって分がある判定を下されるのを見たことは何度もあった。オラス会長も、そういった判定の利を受けた一人なのだ。