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アジア 11年前

就任はなんと開幕1週間前。弱冠29歳、タイプレミアリーグで奮闘する日本人GM

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa

安定して上位に入れるチームを目指して

 オーナーの影響力が強いタイのサッカー界。今年からGMとなった鈴木氏もその点は感じている。チェンライの場合、オーナーは弱冠28歳の政治家の息子、CEOは大学の同級生という。

「選手や監督の獲得、ビジネスに関しても、最終的にオーナーの意向で決まります。僕は選手の獲得やビジネス面でイニシアチブを取って、“こういうのはどうですか”と提案して、OKをもらう。なので、僕はオーナーとCEOの下で、計画をする人という感じでしょうか」

 安くてチケットは1枚80バーツ(約240円)。チケット収入は全体の10%程にしかならない。半分近くを占めるのがスポンサー収入で、リーグから分配されるテレビ放映権料が30%くらいになるという。それ以外に回るお金もある。鈴木氏は「ビジネスとは程遠い」と率直に語りつつ、「でも、やれることは山のようにあります」と語る。

 昨年のアジア・チャンピオンズ・リーグでのブリーラム・ユナイテッドの健闘や今シーズンの元日本代表選手の相次ぐ加入。それでも、鈴木氏は「タイプレミアリーグ、タイサッカー自体は大きくなっていないのでは」と危機感を抱く。

 現に、タイ代表は東南アジア圏の大会では結果を出せても、そこから先へ進めない状態が続いている。イラン、クウェート、レバノンと同組になった2015年アジア杯予選では、6戦全敗で敗退した。

「タイは今、クラブ間での競争が激しい。クラブが選手に出費をして、スタジアムも建てている。タイサッカー協会がタイプレミアリーグをもう少し監視したり、タイプレミアリーグが各クラブを監視すれば、もっと良い形になると思います」

 1万5000人収容のサッカー専用スタジアムは市街地近くの空港のすぐ隣と立地はいい。スタジアムの脇では現在、専用練習場の建設が進んでいる。アカデミーのさらなる充実も計画。サッカーだけで突き進んできたクラブにあって、鈴木氏は地域社会との連携を含め、長期的なチーム作りを進めようとしている。

「クラブの経営を上手く軌道に乗せることが今の目標です。タイサッカーはマネジメントがしっかりすれば、確実に上に行くと思います。選手の獲得など、プランをしっかり立てた上で、あと4、5年でトップ6に安定して入れるチームにできれば」

 今後、チームがどんな変化を遂げていくのか、彼の手腕に期待がかかる。

【了】

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