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【連載】サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』<第三話>解任直後の老将がライバルチーム監督に突然の就任!? 敵役、金持ちクラブオーナーのやり手青年実業家がいよいよ登場!

【第三話】 真夜中に
In the dead of night(Complex mind to be released)

 翌日の記事はさらに詳細に、事の次第を伝えていた。

◆チェシュラック氏、電光石火の再起
 鬼の目にも涙──三一日、インテルクルービクラブハウスで次期監督就任記者会見に臨んだカジミエシュ・チェシュラック氏は、着席するなり眼を潤ませ、開口一番「わたしは帰ってきた……」と感慨に充ちた言葉を漏らした。
 無理もない。今季降格まちがいなしと言われた銀星倶楽部を補強もなしに急成長させ、残留がほぼ決まろうかという頃になって突然の更迭。「老体に鞭打って日本に来てくれた名将に失礼だ」「銀星倶楽部は屑」と、他クラブのファン、サポーターからも不可解な監督人事に抗議の声が上がったほどだった。
「まだクビになったばかりで嘆くほど時間も経っておらず、泣く涙も湧いてこないが」と笑って前置きしたチェシュラック氏は、目尻に光るものをたたえながら、次のように喜びを表現した。
「やはり首都のトップクラブはいい。こうした日本の環境はまさに感涙ものだ。若い日本人選手には、欧州2部をめざすより、インテルクルービに入ることをおすすめする」(チェシュラック氏)
 電撃的に銀星倶楽部を解雇され、湾岸スタジアムをあとにしたチェシュラック氏にインテルクルービからオファーがあったのは、まさにその直後。急遽、夜に会談の席を設け、次期監督就任が決定。来季も「東京」のピッチで指揮棒をふるうことになった。
「信じられないことばかりの一日だった。言葉がない、というのはこういうことを言うのだろう。まさか東京のフットボールシーンに戻ってこれるとは夢にも思わなかった」
 日本はもうこりごりと、解任直後はサッカーから足を洗おうとも考えた。しかしオーナーの神足一歩会長をはじめとしたクラブ首脳陣の熱心な説得と、かつての弟子でもある「ウクライナの矢」ヤロスラーヴ・シェウチュークを獲得すれば考えてもいいという条件をクリアすると約束した強化部の誠意がチェシュラック氏の心を動かした。
「フロントはすばらしい仕事をしてくれそうだ。いまや優勝をめざすための、ありとあらゆる条件が揃いつつある」
 自身の年俸は銀星倶楽部時代の四倍以上となる二億円を提示された。来季獲得する外国籍選手はシェウチュークをはじめとして一〇億円級ばかり。気鋭の実業家として名高い神足オーナーの潤沢な資金が流れ込むインテルクルービにバジェットの不安はない。
 それだけではない。今季にチェシュラック自身が培ってきた「財産」が、彼を救いそうな気運が高まっている。
「既にチェシュラックは現在の銀星倶楽部先発メンバーから数人をリストアップ、強化部と戦術プランも含めて協議に入っている」と、一部の関係者は明かす。経営難の銀星倶楽部は主力選手のほとんどを放出すると見られ、チェシュラックに心酔している「チルドレン」があとを追い雪崩れを打つように加わる可能性が高いというのだ。その際も豊富な資金を背景にした高額年俸がモノを言う。
 新体制になり、本格的な強化に乗り出したインテルクルービは、来季を世界進出戦略最初のシーズンと位置づけている。「悲劇の名将」チェシュラック次期監督は銀星倶楽部へのリベンジを果たすと同時に、インテルクルービを念願のリーグ初優勝、そして世界へと導く。

続きは、サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』特設サイトで。

エンダーズ・デッドリードライヴ

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