無効化されるグレーゾーン。スペインの育成年代がドラスティックに変わる
だからこそ、今回のFIFAの決定は久保君のみならず、現在スペインでプレーする、あるいはこれからの留学を目指す日本人の少年全てに大きな影響を与えることになりそうだ。
バルセロナはFIFAの調停委員会への申し立て、CAS(スポーツ仲裁裁判所)への訴えを準備しているが、FIFAの制裁がバルセロナという特定のクラブのみならずスペインサッカー連盟に対する罰金にも及んだことで、スペインサッカー界がグレーゾーンで認めてきた「未成年の外国人選手の公式戦出場」規定自体が無効化される公算が高い。
スペインの育成年代の年間リーグは4月、5月でシーズン終了となりため、ひとまず今季残り試合の出場は認められる可能性もあるが、来季以降の選手登録や公式戦出場については間違いなく認められないであろう。
バルセロナにあるUEコルネージャという名門クラブでユースコーチを務める坪井健太郎氏も自身のブログで「スペインの育成年代から外国人選手が消える」可能性について指摘している。
バルセロナでは、昨年3月にFIFAのガサ入れによって韓国人3選手を含む外国人6選手の選手登録証が取り消しとなり、彼らは公式戦に出場できずにバルサでトレーニングと練習試合をこなしている。
現在バルサのフベニールAに所属するアルゼンチン人のマキシ・ロロンは16歳でバルサと契約した後、18歳までの2シーズン、バルサのフベニールが所属する1部、2部リーグでの登録が認められず、坪井氏が所属するコルネージャの3部リーグ以下のチームでプレーせざるを得なかった。
すでにマキシのように下部リーグのクラブにレンタル移籍させる手法は認められなくなっているため、今回の処分を受けて久保君を筆頭にバルセロナに所属する外国人選手は全員が来季の公式戦に出場できなくなる可能性も秘めている。
もちろん、その厳格化されたルールは久保君以外の日本人選手にも適用されることになるわけで、今の流れからすると規定やルールの許さや曖昧さから未成年の国際移籍が横行してきたスペインの育成年代がドラスティックに変わることは既定路線だ。
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原稿提供:サッカーを読む! Jマガ