アシストだけでない軸としての動き
苦戦が予想される中、先制ゴールを奪ったのはニュルンベルクだった。8分、清武からのパスをペナルティエリアで受けたフォイルナーが、マンマークに付いたCBナンドの重心をずらして振り向きながら、左足でシュートを放つ。ボールはGKグリュンの右手をかすめながら、ネットに突き刺さった。
ごくかいつまんでしまえば「清武が先制点をアシストした」ということになるのだが、アシストの前と後にも清武は仕事をしている。
先制ゴールへと至る流れのそもそもの始まりは、ボールを持つ相手CBクノッヘに対してFWドリミッチがプレスを掛けたことだった。少し慌てた格好となったクノッへは、弱く浮いたパスを前方にいるボランチのクスタボへと送る。
清武がマークについていたため、グスタボは右足でダイレクトにダブルボランチの相棒、マランダへ送ろうとする。そこを清武がすかさずカットした。
カットしてマランダをかわそうとしたボールをドリミッチがそのまま拾い、流れたボールがサイドを駆け上がった右SBアンガーへ。右サイド深くまで進入したアンガーが、追い縋るロドリゲスとマランダの間を通して折り返したボールを受けたのは、また清武だった。
まさに望みが繋がれ続けたボールを、清武は右足でダイレクトにペナルティエリア内のフォイルナーへと託す。そしてなお清武は走った。ペナルティエリア内へと進入する。基本中の基本のパス&ゴーを行っただけかもしれないが、局面が重要になればなるほど、基本ほど大事なものもない。フォイルナーが振り向くことが出来たのは、清武のフリーランが少なからず相手の注意を引きつけたところもあっただろう。
こうして一連の流れを振り返ってみれば、ニュルンベルクの先制ゴールは清武を軸として生まれていることが良く解る。KickerがBildと同様に「5」ではなく、「4.5」としたのは、先制ゴールを生みだした軸としての清武を評価してのことなのだろう。