守備できぬFWは本当に不要か?
ハーフウェイラインを挟んでのビルドアップと、それを阻止しようとする前線の守備が現在の焦点だが、次の段階がGKを使ったビルドアップを巡る攻防になるのは明らかだ。
GKを使ったビルドアップはすでにバルセロナなど、いくつかのチームが定番化させている。足技に長けたGKの必要性は飛躍的に増しており、オールラウンド化の流れは最後の専門職であるGKにまで及ぼうとしているわけだ。
両足で長短のパスを正確に蹴り、どこへフィードすべきかを瞬時に判断する目を持ち、難しいボールも難なくさばくボールコントロール、必要であればドリブルで相手をかわすスキルを有する、従来の守備能力に加えて攻撃力を兼ね備えたGKは、近い将来当たり前の存在になっていくのだろう。
とはいえ、スペシャリストはいつの時代にも決定的な存在に変わりない。
例えば、同じキックでもパスとシュートに違いがある。パスの上手い選手でもシュートが上手いとは限らず、逆もまた同じである。
まずは、そのポジションでのスペシャリストであることが求められる。ただ、それにプラスされる仕事の量と質が変化している。
かつては守備ができなくても、高い決定力を誇るストライカーならお釣りがきた。ところが、現在はそれではプラスどころかマイナスになってしまう状況になっている。
しかし、守備ができないという理由で本物のストライカーがオミットされてしまうなら、サッカーの魅力は減退へ向かうだろう。とはいえ分業化はすでに限界なので、スペシャリストたちには“本業”以外の仕事にも頑張ってもらうほかない。サッカーの未来のために。
【了】