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世界一になっても慢心はしない。リトルなでしこ・長谷川唯の成長曲線

text by 青木務

「もっと得点を決めていればもう1個上も狙えたかなと思います」

 決勝の相手は、グループリーグ初戦で対戦したスペインだった。この試合で勝利し、リトルなでしこは流れに乗ったが、ファイナルでの再戦は「やりにくかった」という。

「グループリーグでは私たちが勝ったんですけど、自分がスペインの立場だったら決勝は絶対負けたくないと思う」

 優勝を懸けた大一番。自身のパフォーマンスについては、「ボールを失うことが多かったです。自分のところで奪われると攻撃のリズムも悪くなるので、取られないようにしないといけない」と満足はしていない。

 受賞したシルバーボールに関しても「前回(長谷川は2012年大会も15歳で出場している)のブロンズボールからひとつ上がったのは良かった」としつつも、自分に足りないものも自覚していた。

 決定力という言葉を長谷川は何度も使い、「もっと得点を決めていればもう1個上(ゴールデンボール)も狙えたかなと思います。シュートの部分をもっと上げられれば」とはにかんだ。

 得点力アップは長谷川が取り組んでいる課題だが、昨年昇格した日テレ・ベレーザでも多くのシュートを放っており、距離があっても果敢に狙う姿が見られる。元々パサータイプの選手で、今大会も「ラストパスなど味方を使うことを意識して」戦っていた。しかし同時に、自分が決めなければという思いも持ち続けていた。

 今回の優勝が長谷川のゴールではない。まずはベレーザで結果を残し、その先に見えるなでしこジャパンを目指す。まだまだ課題もあるが、それはノビシロも十分あるということだ。長谷川の成長曲線は、これから更に上昇していくだろう。

【了】

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