サイドでいかにバイエルンを押し込めるか
さて、攻守が激しく入れ替わるようなコントロールの利かない試合は、普通であればドイツよりスペインのチームにとって優位に働くものとなる。バイエルン、特にペップは自チームの均衡が崩れることのない試合展開を求める。不慮の事態に陥ることのないよう、コントロールを最重視するサッカーを実践することで。
しかし前述のように、マドリーはポゼッションとカウンターをそのプレースタイルの中に混在させられる、数少ないチームである。ポゼッションによるスタティックな攻撃、カウンターによるダイナミックな攻撃を一試合の中で交互に行えれば、ライバルを混乱させることが可能なはずだ。例え相手がバイエルンといえども、ポジショニングやプレーコンセプトに迷いを生じさせるだろう。
次に、マドリーがバイエルンとボールポゼッションで競う方法だ。何より大切なのは、前線がバイエルンの守備ラインを押し込むこととなる。ロナウドとベイルの両ウィングは、バイエルンの右サイドバックであるラームかラフィーニャ、左サイドバックのダビド・アラバの注意を常に引き付けておかなくはならない。彼らの守備意識の低さに鑑みれば、真逆の状況に陥ることは絶対的なタブーだ。
またカリム・ベンゼマのスペースを生み出す動きは、ボアテング&ダンテのセンターバックコンビをかき乱すことが可能なはずである。彼らは純粋な背番号9タイプへの対応はうまいが、マークすべき対象がおらず、空いたスペースに飛び込んでくる選手たちの対応に苦慮する傾向があるからだ。
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