ポゼッション争いせよ
バイエルンには怯える姿を晒してはならず、逆の姿勢を示す必要がある。とはいえ、彼らが歴史的なライバルであることを考慮すれば、マドリーのモチベーションも必然的に高まるはずだ。
そして彼らが実践すべき戦略は、開始1分からボールポゼッションを巡って争う以外にない。その争いに勝てるかどうかはともかく、第一に挑戦する必要があるのだ。そうすることでポゼッション率が均衡する場合には、おそらくマドリーが優位に立つはずである。彼らにはポゼッションサッカー以外に、現在も長所の一つであり続けているカウンターがあるのだから。
アンチェロッティ率いるマドリーの最大の特徴は、確かにポゼッションサッカーにある。現在の彼らは流動的なポジショニングとパス交換を根幹として、前監督ジョゼ・モウリーニョの頃よりコンビネーションを重視するチームに変貌を遂げており、少しずつそれが形になり始めた。しかしカウンターという長所はいまだ失われておらず、今後も主力武器の一つとして使われ続けるだろう。
その理由は、至極簡単だ。クリスティアーノ・ロナウド、ガレス・ベイル、アンヘル・ディ・マリアといった選手たちは、その武器の弾丸となれる生来の才能の持ち主であり、またシャビ・アロンソ、ルカ・モドリッチ、イスコらは彼らに正確なパスを供給可能な世界有数の狙撃手たちである。
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