本気で変わる姿勢はあるのか?
クラブライセンス剥奪の危機に立たされてからの「募金活動の実施」のインパクトは大きかったようで、上述のように1000万円を超える募金が「支援募金活動実施 ご協力のお願い」のリリースから1ヶ月も経たないうちに集まったことは、事実であり、それ自体は群馬のサポーターや全国のサッカーファンの思い・力を感じさせた。実際、群馬に応援に来ていた富山ファンの方に話を聞くと、多くの方が「募金に協力をした」と話していた。
一方で、群馬のサポーターに話を聞くと「シーズンチケットやアウェイへの遠征費、ユニフォーム、グッズ、クラブの収入はもちろん、ポスター貼りなどクラブのために活動してきた。それなのに募金なんて……」という声もあった。この気持ちも当然だろう。
新社長、クラブライセンス対策本部長を迎えて、2月28日に行われたサポーターズカンファレンスの議事録がまだクラブ公式サイトで公表されない、募金活動以外に具体的な対策が見られないなど、体制は変わっても、本気でザスパクサツ群馬というクラブが変わっていくという気持ちは残念ながら今のところ見られない。
体制を一新した今、群馬がやらなければならないことは目前の危機を乗り切るとともに、短期、中期、長期の明確なビジョンを作成し、サポーター、行政、スポンサーの理解を得ながら、進めていくことだ。
クラブを中心とし、これらが絡み合い、周りの人々を巻き込んでいく。そのためにはビジョンが必要だ。群馬のクラブ公式サイトには「みなさんのサポートがザスパクサツ群馬を助けます!」と書かれた下に、スポンサー募集中、アシストパートナー、支援募金のお願い、ふるさと寄附金の4つのバナーがあるが、それと並行してビジョンを載せてもらいたい。
募金に加えて、群馬県サッカー協会などが「ザスパ(Jリーグ)存続会議」というのも立ち上げている。しかし、もし、今回のクラブライセンス剥奪の危機を募金などで乗り切り、Jリーグに残れたとしても、今の状況をある意味チャンスと捉え、自分たちの足で立てるようにならなければ、近い将来必ずまた同じ境遇に陥ることになるだろう。
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