欧州屈指の強豪を追い詰めたドルトムント。来季の戦いにも期待
しかし、前半のみでドルトムントの勢いは止まってしまう。後半に入るに当たってアンチェロッティは、布陣をいつものとおりに戻した。といっても絶対的存在のロナウドではなく、イスコを投入する。
途中交代したのは、2失点に少なからず関与したイジャラメンディだった。イジャラメンディがいたポジションには、ディ・マリアが入る。
4-3-3の中盤の3がいつもの姿を取り戻したマドリーは、落ち着いてボールを回し始めた。アロンソ、モドリッチ、ディ・マリアで形成される中盤の底は、少し慌ただしかったゲーム全体の勢いをも押しとどめ始める。
それでもドルトムントは果敢に攻め立てた。65分、68分にはムヒタリャンが2度カシージャスとの1対1を迎える。しかしどちらも決め切ることが出来ない。70分頃には、マドリーは全員自陣に戻っていた。ドルトムントは活路を見出せない。
81分、文字通り最後の希望、オーバメヤンが投入されたが、ついぞ状況を打開することは出来なかった。2戦合計2-3のスコアで、ドルトムントは敗戦を喫する。
もし、前線にレヴァンドフスキの姿があったなら、1stレグの結果もまた違ったものになっていただろう。その存在の大きさを示した、マドリーとの激闘だった。
ドルトムントは昨季と同様の決勝の舞台へと辿り着くことは出来ず、準決勝の手前でトーナメントを去ることになった。しかし、怪我人の多さを考えれば、シャルケを粉砕した欧州屈指の強豪をここまで追い詰めたことは、やはり讃えられるべきものだ。まさに欧州の戦いと呼ぶに相応しいゲームだった。
現在ブンデスリーガで2位につけるドルトムントは、余程のことがない限りこのまま来季もCLヘの参戦が決まる。
来季、レヴァンドフスキはもう居ない。もう「欧州の戦い」は出来ないのか? 否、多くの怪我人は戦列に戻ってくるだろう。そのときドルトムントは、また欧州の猛者を相手に胸を打つ戦いを繰り広げてくれるに違いない。
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