監督のプランを実行出来なかった敗者。監督のプラン通りだった勝者
ハーフタイムを境に攻勢を意識したチェルシーは、後半最初の10分間でシュールレとオスカルのシュートがバーを叩いた。その後、敵がボールを持ち始めると、モウリーニョはFW陣にアップを命じ、66分のバ投入を機にパワープレーを織り交ぜた。
続く10分間強でPSGが得た好機に、エディンソン・カバーニのシュートが枠を外れた点は幸運だった。特に、ライン越しのパスに反応した77分は絶体絶命の危機と思われた。
但し、チェルシーがうろたえることはなく、高い集中力を保って勝利を目指していた。指揮官の準備と指示の賜物だ。
例えば79分、ダビド・ルイスは、ハビエル・パストーレと自陣エリア付近で競り合った後、スライディングでCKを避けてカウンターの起点となった。
続くトーレス投入の2分後には、ウィリアンが自陣内から駆け上がってルースボールを拾い、2名を相手にキープ。この流れから得たスローインが2点目のきっかけとなった。
試合終了の約30秒前、チェルシーはペトル・チェフのセーブに救われた。しかし、点を取れても失点も避け難いと思われた2ndレグで、チェフのセーブを要した場面は、エゼキエル・ラベッシによる56分のFKと、マルキーニョスによる、この後半ロスタイムのシュートの2度だけだった。
終了直後のスタンフォード・ブリッジでは、チェルシーの面々が、大一番に勝った後の定番曲、『ワン・ステップ・ビヨンド』のスカのリズムに乗って勝利を祝う傍らを、「信じられない」といった表情のPSG選手たちがピッチを去っていった。
監督が強調した攻撃が形にならなかった敗者に対し、攻守に監督のプラン通りだった勝者。「モウリーニョのチェルシー」がベスト4に駒を進めた。
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