「この前の試合では本田とのパス交換もありました。そこは一歩前進」
けれども、彼のザックジャパン定着は叶わぬまま2013年は終了。2014年W杯イヤーへと突入する。その初戦となった3月のニュージーランド戦で、柿谷曜一朗が発熱のため辞退、追加招集でチャンスが巡ってきた。
「チャンスは絶対にあると思っていた。ザック監督もつねにオープンだと言っていたので、僕自身諦めるつもりはなかった」と豊田は突然の抜擢に目を輝かせた。
このニュージーランド戦で彼に与えられた時間は終了間際の10分足らず。それでも後半42分には本田とのリズミカルなパス交換からFKを得た。
「(本田とは)もともと知らない仲ではなかったし、(8月の時に)パスが出てこないのが何でか分からなかった。不完全燃焼というか、フラストレーションもたまったんですけど、またチャンスがあると思ってクラブに戻ってやってましたし、やるしかないと思っていた。
その結果、だいぶ時間が空いたけど、また代表に呼ばれてプレーして、この前の試合では本田とのパス交換もありました。そこは一歩前進したと自分自身、思いましたね。恥ずかしい話ですけど、本当に大きな一歩。
ああやって代表の一員になるには、パスをもらって自分の仕事をして、点を取ることがカギになってくる。だから、与えられた時間で結果を出すことが一番重要だと思います」。豊田は胸の内に複雑な思いを抱えていた。この言葉からはそれが少し晴れたことが感じられる。
もう一度、本田ら欧州組の主力と一緒にプレーするためにも、今回の千葉合宿で際立った存在感を示し、最終メンバー入りを果たすしかない。その覚悟は他のFWよりも間違いなく強いはずだ。