厳罰化へ同意する声は多い
今回の事件の当事者となってしまったヘルシンボリでスポーツチーフを担当するイェスパー・ヤンソン氏は「今回の悲劇は時間の問題だった。7年前に起きていた可能性もある」と話す。
つまり、スウェーデンリーグにおける暴力事件や不祥事は真新しくないということだ。同国では近年、観客による選手への暴行や発炎筒の投げ込みなどメディアを賑わすことが後を絶たない。
これまでも、観客絡みの不祥事が起きるたびに対策などが上がっていたが、今回の死亡事件によって関係者の我慢も限界を超えたように思える。
現役時代にセルティックやバルセロナで活躍し、今季から1部のファルケンベリFFで監督を務めるヘンリク・ラーション氏は「いったい何が起こっているんだ? われわれはスウェーデンサッカーから暴力を排除しなければならない」と怒りをあらわにし、現代表チームのエリック・ハムレーン監督は「イングランドを見習うべきだ」と厳罰化と取り締まりの強化、警察当局の更なる関与を提案している。
このハムレーン監督の意見に同意する声は多く見られる。文化スポーツ大臣のレーナ・アーデルソン・リルイェロート氏は、今年3月に行われたアイスホッケーの試合・AIK対ユールゴーデンのダービーマッチで安全面を考慮してアウェーサポーターの入場を禁止したことを例に挙げ、サッカーの試合もこれに倣うべきだと主張している。
すでに策を講じているクラブもある。ヘルシンボリは「暴力・差別に反対する」「脅迫的なチャントを歌わない」など観客が遵守すべき11項目をマニフェストとして発表。すべての観客はこれらの項目が書かれた用紙に署名しなければスタジアムには入場できないというルールを作成した。
またヨーテボリは近々、フーリガンの特定を容易にするため、ホームゲームにおいて観客が覆面やマスクを着用することを禁じるルールを施行しようとしている。