“黄金世代”の生き残りはケーヒルだけに
その会見でキューウェルは、「17歳でプロになって以来18年間、人生をサッカーだけに費やしてきたから、これからは第二の人生を楽しみたい」と淡々と語り、サッカー選手としてのキャリアを終えることに関して、既に吹っ切れた様子を見せたのが印象的だった。
その場では、将来的な指導者への就任プランも否定はしなかったので、彼が今後どのように豪州サッカーと関わっていくのかは引き続き見守っていきたい。
今回、キューウェルがスパイクを脱ぎ、サッカルーズでの“黄金世代”の唯一(筆者注:前主将のルーカス・ニールが復帰すれば、その限りでは無い)の生き残りとなったのが、ティム・ケーヒル。
ケーヒルは、キューウェルより1歳若い34歳。長くプレミアリーグのエバートンでプレーした後に渡ったMLSのニューヨーク・レッドブルズでも中心選手として活躍、衰えを見せない。代表でも代えの効かない選手として、W杯メンバー入りは当確。
“黄金世代”の最後の生き残りとして臨む、自身3度目のブラジルW杯は、ケーヒルの輝かしいキャリアの集大成となるだろう。
キューウェルの引退、それは“黄金世代”と言われた選手たちが豪州サッカーをリードした時代の終りを告げる象徴的な出来事と言える。それすなわち、世代交代の歯車が一つ大きく回ろうとしていることの表れとポジティブには捉えている。
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