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守備的スタイルの中での“危険な賭け”。モイーズはバイエルン戦でなぜ香川を投入したのか?

1日に行われたチャンピオンズリーグのベスト8。ホームにバイエルン・ミュンヘンを迎えたマンチェスター・ユナイテッドは1-1で引き分けた。前評判通りポゼッションで圧倒されたユナイテッドだったが、試合運びは見事だった。そんな中、香川を投入した意図とはどこにあるのか?

text by 本田千尋 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

8人の守備ブロックによるカウンター

 デイビッド・モイーズは本当に無能なのだろうか。

 2014年4月1日、欧州チャンピオンズリーグ準々決勝1stレグ、バイエルン・ミュンヘンはマンチェスターのアウェイへと乗り込んだ。プレミアリーグでは現在7位と一行に調子の上がらないモイーズ率いるマンチェスター・ユナイテッドが、ドイツ王者を迎え撃つ。

 バイエルンの先発メンバーは、GKノイアー、右SBラフィーニャ、CBにマルティネスとボアテング、左SBにアラバ、ダブルボランチにラームとシュバインシュタイガー、2列目にロッベン、リベリー、クロース、ワントップにミュラーである。

 対してマンチェスター・ユナイテッドは、ツー・トップにルーニーとウェルベック、2列目にギグス、キャリック、フェライニ、バレンシア、最終ラインには右SBジョーンズ、CBはビディッチにファーディナンド、左SBにビュットナー、といった陣容だ。

 モイーズの狙いは明らかだった。前線に縦へのスピードがあるイングランド代表の2人を揃え、ゴール前に城塞を築く。そのために屈強なフィジカルを兼ね備える8人を選んだ。8人で守備ブロックを形成し、ルーニー、ウェルベックを中心にカウンターを繰り出す。

 相手に対して最初からポゼッションという概念を捨て去り、一瞬の隙に活路を見出そうとした。要するに、かつてモウリーニョがFCバルセロナを相手に採った戦い方である。

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