評価が分かれた酒井宏樹
前半を通して酒井は攻守に渡って安定感を見せた。オーバーラップしての攻撃参加はもちろんのこと、右CBのホフマン、ボランチのサネと組んで後方からのビルドアップに参加すれば、前方でまたサネ、FWのシュラウドラフとともに右サイドを崩していった。
ブレーメンは左サイド、つまり酒井のサイドを左SHエリア、左ボランチのマキアディ、左SBガルシアの3人で崩しにかかる。しかしこの攻撃に対しても酒井はホフマン、サネ、と上手くマークの受け渡しをしながら、難を切り抜けていく。
42分にフスティが直接FKを突き刺して、ハノーファーが1-0で前半を折り返した。90分を先発フル出場した酒井に対して、Kicker誌は「4」、Bild誌は「5」と少し厳しい点数を付与した。しかし「4」と「5」と、多少のズレがある。なぜだろうか。
後半に入ってもゲームの均衡が崩れることはなく、このままハノーファーが勝利へと辿り着くかと思われた。しかし57分のことだった。右サイド後方で2人がかりのプレスでボールを奪ったブレーメンは、素早く中央にいたハントに繋ぎ、ハントはまた直ぐに前方のエリアへとパスをした。
酒井が対応する形となったが、エリアは浮き球のパスを、ディ・サントが駆け抜けてきた右へと送る。ボールを受けたディ・サントは、きっちりゴールを決めた。
KickerとBildの採点が「4」と「5」に分かれた理由は、このハノーファーが1失点目を喫したシーンにあったと思われる。酒井自身は90分を通して安定したパフォーマンスを見せていたが、結局89分にブレーメンがCKからプレードルがヘッドで合わせて土壇場での逆転勝利をもぎ取った。チームが敗戦を喫してしまったことで、まずどうしても採点は低めのものとなってしまう。
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