日本人に求められる「規律」の浸透
タイに最も欠けている部分である「規律」を、そのスペシャリストのような国である日本によって植え付けてもらいたい。簡単に言えば、ヴィタヤ氏の意図はそういうことだ。
その意図を、和田監督も十分に理解している。
「もともとタイ人は技術が高いというのは昔から思っていました。問題はメンタリティーのところですよね。『ほんと時間を守らない』ということをヴィタヤも言っていましたし、時間にきっちりしている日本人にそういうところを変えてほしい、ということで呼ばれたと思っています」
和田監督就任以前からチョンブリFCでは日本人スタッフたちによって規律面の改革は行われていたが、監督という立場に日本人が就いたことでそれがさらに進められている。
「いきなりだと選手もストレスなので、最初の一ヶ月は野放しにしていたんです。年末に一度帰国するときに、『年明けからは規律を守ってほしい』と伝えました。遅刻にしても欠席にしても理由はあるわけだから連絡は入れなさい、と。罰金や、選手が来なくても練習は時間通りに始めてしまうことも徹底して、今は『無断』はほぼなくなりましたね」
また、タイでプレーする日本人選手からはこんな言葉を聞いたことがある。
「得点力や個人の圧倒的な力をとるなら、ブラジル人やアフリカ人のほうがいいと思うんです。日本人選手が求められるのは、やっぱりそういうところ(規律面)だと思いますね」
指導者のみならず選手も含め、「規律」は日本人がタイで求められる理由の一つのキーワードと言っていいだろう。
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