かつてサッカー選手は“やくざ”な商売だった
カルロス・アルベルトがサッカーを覚えたのは、リオの道――ストリートだった。
「ぼくの最初のピッチは住んでいた家の前の道だった。その後、近くの空き地でボールを蹴って、だんだん上達していったんだ。14才のとき、ぼくはフルミネンセでテストを受ける機会を与えられた。テストに合格してフルミネンセの下部組織に入ったんだ」
今も昔もサッカーはブラジル人が偏愛するスポーツだ。少しだけ違うのはかつてはサッカー選手は、“やくざ”な商売であり、親たちは息子がサッカー選手になることを望まなかったことだ。
「うちの父親は市役所に勤める技術者だった。当然、サッカーをやることには大反対だった。サッカー選手は今のように収入のいい職業じゃなかった。収入は不安定で、将来の保証もない。うちの父親はぼくにきちんと勉強して欲しいと考えていた。
だからフルミネンセに入ることに大反対だった。それでもぼくはサッカーをやりたかった。ぼくたちの時代は、プロに近づくと学校に通うことが難しかった。フルミネンセに入ってからも勉強は続けたけど、途中で辞めざるを得なくなった」