長友の課題=チームの課題
後半になりマッツァーリ監督は、エリア近くに侵入してからミスを繰り返していたグアリンを下げ、アルバレスを投入し、3-4-3に近いシステムにしてマークをずらす。相手の運動量低下も伴い、これでぐっと展開を外すのが簡単になり、チャンスも出来るようになってきた。
こうして、長友もスムーズに動けるようになった。後半21分の絶好のクロスにパラシオに入れたプレーはその典型である。プレーの重心を下げたエルナネスが、マークを外してピッチのやや中央から鋭いパスを左のオープンスペースへ入れる。
長友はそれに合わせてダッシュ、そのままスピードに乗って左足でクロスを放った。これは正確にパラシオの頭を捉えるが、ヘディングシュートは右にそれる。実に惜しかった。
メディアの厳しい論調は、「そういったプレーをなぜ前半から出来なかったのか、かりにもビッグクラブを標榜するチームがホームで苦戦するとは情けない」という批判精神が背後にあるからなのだろう。
一見無茶な要求だが、苦しい内容でも、その中でワンチャンスをものにする力があってこそビッグクラブ。それが出来ないからこそ、現状に不満を示したのである。
強引にでも前半に点を取れなかったところは、後半の決定力不足にも現れてしまった。エリア内のファウルが見逃された、ウディネーゼのゴールマウスにスクフェットという17歳の化け物がいたなどというエクスキューズがインテルにはあるが、それを乗り越えて点が取れるチームになれるかどうかを、彼らは課題として突きつけられている。
同じことは当然、長友にも求められている。前節、途中出場したアタランタ戦で、繊細なタッチでマーカーの裏へボールを流し、鋭く背後を破って折り返すという美技を見せていた。
ウディネーゼ戦でも前半に一度同様のプレーを試みて失敗していたが、マークの厳しい時間帯にこそ成功させ、得点への演出へ結びつけられるプレーヤーへと成長してもらいたい。
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