フットボールチャンネル

本田圭佑 11年前

不調の本田はなぜ蘇ったのか? セードルフ監督が課したタスクと献身性が活きた理由

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

“絶対にスペースを空けてはならない”

 フィオレンティーナの武器は、中盤のテクニシャンを活かしたポゼッションサッカーだ。彼らの攻撃を止めるためには、ゴール前のスペースを消すことが大前提となる。つまりDFラインと中盤で、コンパクトな守備組織が作れるかどうかがポイントだった。

 セードルフ監督の[4-2-3-1]は、守備時には[4-4-1-1]に変形し縦横のゾーンを占有するようになっている。トップ下でポーリが出場した時には2列目に吸い込まれ、2ボランチの一角がサイドに張ってフラットな4枚を形成するメカニズムが出来ていたが(この場合カカは前線に残る)、フィオレンティーナ戦ではそのポーリが出場停止になったため、同じ事は出来なくなっていた。

 ならばどうするか。守備時には左のターラブ、右の本田が下がり、ボランチやサイドバックと緊密な距離を保って守ることが要求されていたのである。特に彼の担当するサイドには、2月のインテル戦で長友と丁々発止を繰り広げたクアドラードが回されていた。

 普段右WBを務める彼は、チーム事情によっては左ウイングとしてプレーし、外から中へのカットインを活かしてチャンスを作るユーティリティも持っている。

 絶対にスペースを空けてはならないという条件下のもと、本田は走った。時にボネーラのサポートに回り、時に中へ絞ってクアドラードがカットインを仕掛けるコースを切った。もっとも本職が攻撃的MFの守備なので、止めきれずに体で持って行かれるシーンも所々あったが、スペースを埋める仕事は勤勉にこなしていた。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!