「試合が面白いか面白くないか。もちろん面白い」
――確かに、Jリーグの空洞化が懸念されていますね。しかし、セレッソ大阪に加入したディエゴ・フォルランのような選手の存在は解決のヒントとなるのではないでしょうか?
「フォルランがJリーグに来てかなり盛り上がりました。海外でも大きな話題となっていましたね。
90年代に多くのスターがJリーグにやって来たときはすごく盛り上がっていました。世界的な注目となっていた。世界的なスポーツの競争の中に積極的に参加する意思が見えていました。
今は、特にテレビで世界のサッカーが観られるようになったので、Jリーグはみんなの意識の中で二流と位置づけられていると思います。もちろん、二流でも十分強いですよ。オランダやベルギーも二流です。
しかし、二流から一流になるためには世界的な選手を連れてくるしかない。年齢も若い選手を連れて来られないと意味が無い。
かつて、鹿島アントラーズにいたレオナルドやジョルジーニョのような『今が全盛期』という選手はJリーグには難しい。金も出せない。現実的には、アジアの1位を争うことは続くけど、世界のトップを争う将来にはならないでしょう」
――では、どんな将来を目指すべきでしょうか?
「だからこそホームタウンの意識は大事なのです。『それでも私たちのチームなんだ』と、『私たちを代表するチームなんだ』と、『世界のトップリーグに選手を送り込んだんだ』と、『W杯選手を生んだんだ』という意識があれば、何も問題は無いですよ。
たとえば、私の地元のクロウリータウンだったら、いつまでたってもイングランドの優勝チームにはなりません。だれも目指してないし期待していない。ちょっとした勝利が大きな喜びにつながれば良いのではないでしょうか。
謙遜も必要。Jリーグはこれだけで来ているんだと考えていい。出来ていないことは、これから進歩していけばいい。
試合が面白いか面白くないか。もちろん面白い。高校サッカーも面白い。みんな高校サッカーの面白さを分かっている。でも、高校サッカーのレベルはJリーグに生き残れるレベルではない。高校サッカーが楽しいなら、J3はもちろん楽しいはずです」
【了】
プロフィール
マイケル・プラストウ
1959年、英国ウェスト・サセックス州のクロウリー出身。1980年の来日以来、30年以上日本サッカーを見守っている。1991年からはイギリスのサッカー専門誌「World Soccer」の駐日記者として、日本代表、Jリーグを取材。日本サッカーの魅力を世界に発信している。また、NHK国際局などで、放送原稿の執筆、翻訳業務を担当。群馬大学、日本大学の講師も歴任。著書に「FOOTBALL ENGLISH―サッカーを愛するあなたに捧げる用語と写真」ほか多数。