抽選は茶番劇?
「どれも興味深いが、少しパンチに欠ける」
チャンピオンズリーグ(CL)、ベスト8の組み合わせを見てこんな思いを抱いた人はいないだろうか。CLはベスト8からは完全な抽選と“されている”(ベスト16ではグループステージと1位と2位が当たり、さらに同国対決はない)。
だが、マンチェスター・ユナイテッド対バイエルン・ミュンヘン以外はどれも力の差はほとんどなく、拮抗した戦いが予想される“ベターな抽選”となった。抽選はある種の茶番劇であることは暗黙の了解であるにもかかわらず、だ。
CLを統括する欧州サッカー連盟(UEFA)は、どこかに山場となるビッグマッチを仕込む傾向にある。昨季のCLの総商業収入は13億4000万ユーロ(約1876億円)と見積もられており、そのほとんどが放映権料だ。
世界中の視聴者を満足させ、さらに放映権料を拡大していくにはどのラウンドでも盛り上がりを意識しなければならない(そういう意味ではマンチェスター・ユナイテッドの奇跡の逆転劇はUEFAにとって僥倖であった)。
バロセロナ対アトレティコ・マドリー
レアル・マドリー対ボルシア・ドルトムント
パリ・サンジェルマン対チェルシー
バイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・ユナイテッド
という組み合わせはまずまずいいし、どれも見どころがあるが、世界中が大注目するという試合はない。この8クラブなら、もっと“上手く”できたはずだ――。そんな疑念を抱きながら悶々と考えていると、ある壮大な計画に気がついた。
UEFAがこれを想定しているなら、ある人は素晴らしいと言うだろうし、またある人は愚かだと言うだろう(ある人は“計画”こそが卑劣だと言うだろう)。