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日本が注意すべきは肘打ち? 怠惰な国民性の裏に潜む狡猾さ。経験者が語るギリシャサッカーの美学と弱点

text by 杉山孝 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

八百長で処分されたクラブも

 一方で、サッカーに関する闇の部分が露呈されることもある。2010-11シーズン最終節、6位のアリスは欧州カップ戦の出場権を争うプレーオフ進出を目指し、条件となる5位以内に入ることを目指していた。

 5位のオリンピアコス・ボロウとは勝ち点2差で、そのボロウの相手は強豪パナシナイコス。アリス全体が逆転でのプレーオフ進出を信じていた、と坂田は回想する。

 アリスは見事勝利したが、試合途中にベンチへ下がった坂田の目にチームが喜ぶ姿が飛び込んでくることはなかった。ボロウがまさかの勝利を飾っていたのだ。しかも内容を聞けば、パナシナイコスの2選手が退場処分を受け、ボロウに2つのPKが与えられたという。

「絶対におかしい」

 ロッカールームで悔しそうにつぶやく同僚の姿を、坂田はしっかり覚えている。ボロウはその年の6月、2009-10シーズンの八百長疑惑で逮捕者を出し、UEFAによりヨーロッパリーグ出場権を剥奪され、同国協会から4部降格を告げられた(クラブはこれを拒否し、空白期間を置いたのちに2部リーグ入り)。

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