「つねに200点の答えを追い求めてるような感じがしました」
慣れない舞台で凄まじい緊張感に覆われたが、1つ年上の本田と長友(佑都)がかけてくれた言葉が、少なからず励みになったという。
「圭佑さんが『(監督から)いろいろ言われていると思うけど、自分のプレーをやればいい。周りを気にせず、伸び伸びやれ』と言ってくれたのは大きかった。佑都君も『お前はまだ何も得てない選手なんだから、ミスしてチャレンジし続けろ』って言ってくれた。
あの2人の発言があったことで、僕自身の中で『何かやろう、何か残そう』って思えたんですよね。ピッチの中では萌さんもすごい気を遣ってくれたりもしたので、そういうコミュニケーションという点で仲間とのつながりを感じました」
高橋は結局、直後の最終予選序盤3連戦(オマーン、ヨルダン、オーストラリア)にも生き残り、その後の2年間も断続的にザックジャパンに名を連ねることになるのだが、それも百戦錬磨の先輩たちの援護射撃があったからだと彼は後に語っている。
「さりげない一言ですけど、自分に与えてくれた影響っていうのは、とてつもないパワーを持ってたなと思います。彼らを見ていると1つのことをなあなあにしないというか、突き詰めて本質まで見つめ直して行動するところがすごい。これくらいでいいんだよとかは思ってないですね。つねに200点の答えを追い求めてるような感じがしました」
世界基準をまざまざと見せつけられた高橋は代表デビュー以来、本田らのことを常日頃から頭の片隅に置いて、より高い領域を追い求めている。遠藤・長谷部の後継者争いに関してもその後、山口蛍が参戦。海外で実績を積み重ねる細貝もおり、W杯メンバーに滑り込めるかは微妙な情勢だ。
それでも本人は「バランスを取るということに関しては普段から意識してやってますけど、長谷部さんなんかはしっかりやりながらも、オン・ザ・ボールのところでもきちんと仕事ができる。そこが自分の課題」と改善点を明確に見据えている。
こうした部分を少しでもレベルアップすることが、ブラジル本大会への挑戦権を勝ち取るポイントになってくる。長谷部の負傷はチームにとっては痛手だが、高橋にとっては大きなチャンス。今がまさに彼にとっての正念場だ。
【了】