犯罪とともに注意すべき交通事情
「北部にも南部にも悪い奴はいる。ただ、悪さの質が違いますね。北部は温和で優しい人が多く、ついつい情にほだされて信用しそうになるけど、それが罠だったりする。南部はストレートな強盗が多い」
と言うのは、亘氏。続けて、日本では考えられない発想の違いを話してくれた。
「交通事情に関しては、注意が必要だと思います。ブラジルは鉄道が発達しておらず、庶民の足はバスなんです。そのバスがね……タイヤからチューブが飛び出していて、『これ、何ですか?』ってドライバーに訊ねたら、『パンクしたら空気を入れながら走るんだ』と言うんですよ。
日本ではパンクしないタイヤを使うとか、スペアを積むとか考えるじゃないですか。国が変われば発想もここまで違うんだと驚かされました。もっとも、こういうのは注意したところでどうにもならないんですけどね。
そういう国だと知っておくだけで、多少は覚悟が違うでしょう。くれぐれも安全面にはちゃんとお金を使ったほうがいいですよ。せっかくブラジルまで行って、さみしい思い出にしてほしくない」
奇想天外な出来事との遭遇もまた、ブラジルで行われるW杯の面白さだ。4年に一度の祝祭を通じて、ブラジルに息づく豊饒なサッカー文化を味わえることだろう。
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