ハンデとなる地理的要因。必要になる想像力
今大会の使命は日本のサッカーを表現したうえで、ベスト16以上の結果を出すことだと思っている。
日本のサッカー、スタイルといっても、サッカーは相手との力関係や状況によって戦い方が変わるゲームなので、高校生の言うような「自分たちのサッカー」なんぞにこだわる必要はまったくない。
守るべき時には全力で守り、攻めるべき時は攻めるのが一流のプロというものだろう。ただ、そうはいっても得手不得手はある。日本が力を出しやすい、結果を得やすいプレーをしなければならない。
問題は日本が本大会までの大半の試合が対アジアだったというところにある。これは地理的なハンデだ。
ヨーロッパ、南米に比べるとアジアの実力は低い。アジアで有効だったプレースタイルがW杯で通用する保証がない。ヨーロッパのチームなら、予選からW杯出場国レベルの相手と試合が続くので、予選がそのまま本大会への準備に直結するが、アジアではそうはいかないのが現状である。
そこで、本大会ではこういうプレーが有効だろうという想像力が必要になる。アジアを勝ち抜きながら基礎を作り、数少ない強豪国との対戦で有効性を確認して本大会に臨むほかないわけだ。
前回大会は予定していた戦い方を大幅に変更しなければならなかった。中村俊輔のコンディション不良によって、パスワークで主導権を握る戦い方はできなくなってしまったからだ。オランダ以外に負けなかったのは評価すべきだと思うが、当初の予定と準備は完全に的が外れてしまった。
【次ページ】日本が苦手な局面