スナイデルを封じ、ドログバは孤立
それでも、チェルシーはカウンターに転じる度に相手ゴールに迫った。終盤、観衆のスタンディング・オベーションで見送られたエトオと1トップを交代したフェルナンド・トーレスは、アザールがバックヒールで演出した1対1のチャンスを物にしているべきだった。
一方、ガラタサライの最前線にいたドログバは、28分のポストプレーでチーム最初のまともなビルドアップを可能にしたあたりはさすがだが、時間の経過と共に存在感が薄れていった。
ドログバが独力でゴールを狙えるタイプではないことを熟知しているモウリーニョは、サポート陣への寄せの速さと激しさも徹底していた。特に、前半だけで2、3度倒されたウェスレイ・スナイデルには厳しかった。
リズムの「リ」の字も掴めなかったスナイデルの不調は、カウンターを焦ってダイアゴナルパスを強く蹴り過ぎた71分のミスに象徴される。孤立したドログバが最も得点に近付いたのはフルタイム直前。だが、ライン裏に届いたFKを至近距離で捉えることはできなかった。
試合終了の笛の音と同時に、スタジアムには相思相愛の雰囲気が戻った。ピッチ上で長々と抱擁したドログバとテリー。そのピッチを最後に去ったのは、ドログバだった。ドログバに始まり、ドログバへの終わった第2レグ。
しかし、肝心の90分間は、その主役の存在が消されていた。指揮官が「我々はCLに相応しいチーム」と胸を張ったチェルシーの前で、ガラタサライはCLにはそぐわないチームであるかのように見せられた。やはり今季にチェルシー帰還が実現した、モウリーニョというレジェンドの手によって。
【了】