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電通が次に仕掛けるアジア戦略。日本サッカー底上げのカギ握る、アジアのスポーツビジネスに迫る

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa , Kazhito Yamada / Kaz Photography

強化に本気になってきたアジア各国

――近年のスポーツビジネスにどのような印象をお持ちですか?

「オリンピック、W杯という2大国際スポーツイベントを見ても、新興国で開催されていることが多い。W杯はインフラを含めると1000億円規模の事業になると言われています。

 オリンピックは3000億円以上とも言われています。そういう巨大スポーツイベントをやり抜ける力が新興国、途上国について来た。

 各国の指導者、特に発展途上国の指導者は、スポーツは国を一つまとめる力があるという点をよく理解しています。

 ミャンマーで44年ぶりに開かれた昨年のSEA Gamesは一番良い例です。ようやく門戸が開放されたばかりのミャンマーで本当に開催できるのか、不安に感じる人が多い中で、しっかりとやり遂げたのです。

 ミャンマーは今年、アセアン首脳会議の議長国で、2015年には総選挙がある。世界に発信する非常に大事な3年間です。自信がつくと国民もアグレッシブになって経済的に豊かになる。政治も安定もしてくる。

 東京にいると新興国、例えばミャンマー、ラオス、カンボジアはお金がないだろうと、上から目線の発言が散見されます。

 しかし、現地に来ると間違いで、各国の協会はお金持ちなわけです。ミャンマーのサッカー協会の会長は大手財閥のオーナーです。いざとなれば、電話一本で多額のお金を集められます。

 一番困っているのは選手強化なんです。今まで東南アジアのサッカー協会、オリンピック協会は本気で勝とうと思っていなかった。汚職があったり、八百長があったり、ネガティブなイメージが強かった。

 今、各国のリーダーは本気で強くしたいと思っています。サッカーで言うと、アジア杯で優勝したい、日本のようなサッカーがしたい、W杯に出たいという夢がある。

 そのような要請に応えて、日本サッカー協会は指導者を送っているんです。そういうことが一番喜ばれるんです」

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