「ちょっとフランスの名前にビビったというか、飲まれたのはあります」
しかし実際のゲームはそんなに甘いものではなかった。フランスの攻撃の迫力は序盤から凄まじく、日本はズルズルをラインを下げて自陣に押し込まれた。中盤が相手を捕まえ切れないから、そのしわ寄せが今野ら最終ラインに来る。彼としては懸命に体を寄せてゴールを防ぐしかなかった。
「前半はちょっとバタバタしちゃって、ボールを取って取られてになり、そしてサイドに押し込まれた感じ。なかなかラインを押し上げられなかった。自分たちのマイボールが少ないから、引いちゃったかもしれない。
ちょっとフランスの名前にビビったというか、飲まれたのはあります。特にベンゼマは捕まえづらかった。中に入ってくるし、キープ力もあるから、サイドで持たれてもなかなか奪えなかった」と振り返る。
それでも失点だけは何とか防いだ。
「決定的なところまでは行かれてないと思う。抜かれたとしても次にカバーとかもいた。その距離感とかは試合前に思い描いていた通りでいけたんじゃないかな。ボールも何度か奪えていたし、やれるなという感じはありました」と今野は攻め込まれる中でむしろ手ごたえをつかんだ様子だった。
0-0で迎えた後半。フランスのベンゼマが下がると、日本が徐々に攻めに行けるようになる。香川真司をトップ下に動かしたのも功を奏した。フランスもリベリーを投入して巻き返しを図ったが、今野ら守備陣は失点を許さない。
そして終盤、相手のCKの場面から今野が持ち前の攻撃センスを存分に発揮する。彼のドリブルでの持ち上がりから鋭いカウンターが生まれ、長友佑都から香川へ。最終的にはエースナンバー10がゴールし、日本は大金星を挙げることに成功した。