「サッカーは走る量を増やして対応するような持久的なスポーツではない」
相良が講義中に示した2009年のプレミアリーグのデータがある。
このシーズンのマンチェスター・シティのコンディショニングトレーナーはレイモンドが務めており、プレシーズンから緩やかにトレーニングの負荷を上げていった結果、同チームの全選手による1ヶ月平均のスプリントディスタンス(秒速5メートル程度で走る距離)が、年間のプレミアリーグで断トツの首位を示した。
筋肉系のケガ人もほぼなし。レイモンドの理論を導入した近年のバイエルンやアヤックスでも同様の効果が現れた上にゲーム中のスプリント回数も上昇したという。
では、どうすればトレーニングでこれだけの効果を生み出せるのか。
「『サッカーのピリオダイゼーション』理論で重視するのはトレーニングの負荷(強度)を段階的に上げていき、選手たちの体を徐々に強くしていくことです。サッカーは走る量を増やして対応するような持久的なスポーツではなく、強度のスポーツだと認識すべきです。
現代サッカーはレベルが上がれば上がるほど時間とスペースがなくなりますが、そのなかでプレーの質を維持し続けることがサッカーの魅力につながる。だから、選手たちには時間とスペースがない、アップテンポのなかでも持続的かつ爆発的にプレーできるだけの体の強度をトレーニングで求めていきます」
(続きは『サッカー批評issue67』にて、お楽しみ下さい)