エバートン流に染まったマンU
香川真司と本田圭佑。日本代表に欠かせない二人がクラブで苦境に陥っている。先週末の試合ではお互いにベンチスタート。だが、負けている状態でも二人が投入されることはなかった。
W杯で日本が勝ち進むためには二人の力が必要不可欠。彼らの調子が悪ければ、良い結果は得られないだろう。クラブでの不調をどう脱却し、6月のW杯本大会を良い状態で迎えることができるか――。W杯までの二人にとって重要なテーマと言える(当然ながら他の日本代表選手全員に当てはまることだが)。
二人にはクラブでの共通点がある。監督が新しいこと。チームの調子が悪いこと。この二点だ。
香川の所属するマンチェスター・ユナイテッドは今季、デイビッド・モイーズ監督を招聘。夏にはマルアン・フェライニ、冬にはフアン・マタを獲得し、100億円以上の大型補強を敢行したが、結果は周知の通り。チャンピオンズリーグ(CL)が絶望的な順位に落ち着いてしまっている。
モイーズは前任者アレックス・ファーガソンがコーチ陣を残すよう助言するも、自らが長きを共にしたエバートン時代のスタッフで周りを固めた。その影響は色濃く、チームは良くも悪くもエバートン流に染まったと言える。
プレミアリーグの監督は“マネージャー”で全体の統括者。多くの場合は、監督はチーム全体を管理し、細かな戦術練習などは文字通りコーチ陣が“コーチ”する。クロスを多用するスタイルに変わったのはこのためだと思われる。
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